※現パロ
※三島くんのキャラは100%捏造です
※溢れ出る大学生感
「、このあとクレープ食べに行かないか?」
「えっ、何で?」
「なんでって……」
「三島くんてクレープとか好きだったんだ?」
「……うん、まあ」
「わかった!一人で行くの恥ずかしいんでしょ」
「…………まあ、そんなところかな」
が「仕方ないなあ~」と笑いながら俺の肩をぽんぽんと叩いてくる。まさか、デートの誘いに理由を求められるとは思わず困惑したが、結果としては約束を取り付けることができたので良しとしよう。どうも彼女には恋愛対象として見られていない節がある。結構わかりやすいアピールをしているつもりなんだけどなあ……現に、友人たちにはばれているのに本人には伝わっていないらしい。自分で言うのもアレだが顔は結構良いと思っている。にも関わらずここまで相手にされないということは単にの好みに合致していないのか、考えたくもないことだが既に彼氏がいるのか。いやしかしそんな話、誰からも聞いたことがない。ただの杞憂であれと願いながら、呑気に「行きたいところでもあるの?」とこちらを見上げてくるに調べておいた店の地図を見せる。
「これ超有名なお店だ!私も行ってみたかったんだよね~」
「それならちょうどよかった」
偶然を装ってはいるが、もちろん事前にが行きたがっている店を調べた結果だ。でなければこんな1時間も並ばなければいけないような店は選ばないだろう。行列に並ぶ価値のある食べ物が果たしてあるのだろか、と、個人的にはその心理が理解できずにいるが、と一緒なら話は別だ。並んでいる間は二人でいられるのだから。
「すっごい並んでるけど……三島くん大丈夫?」
「うん、俺は大丈夫。こそ平気なのか?」
「まあ、三島くんが一緒だし、1時間なんてあっという間だよね!」
あっという間じゃ困るんだよなあなんて欲望まみれの思考を押しやり笑顔で同意する。列の最後尾に並ぶと、並んだそばからどんどん人が増えていった。そんなに人気なのか……客はやっぱり女性ばかりだが、ちらほらとカップルらしき男女も見受けられる。さりげなく人間観察をしていると、メニューを眺めて悩んでいたがこちらを向いて「どれにするか決めた?」と首を傾げるので彼女の手の中にあるメニューの中からビターチョコレートアイスの入った甘さ控えめであろうクレープを指さした。はキャラメルソースのなんかやたらゴージャスなやつといちごアイスの乗った全体的にピンク色のやつで迷っていたので「どっちも頼んだら?」と冗談交じりに言ってみると「二つも食べたら太っちゃうって!」と結構な強さで背中を叩かれてせき込む結果になった。
漸く順番が回ってきて注文を済ませると、付き合ってもらったお礼にという口実のもと半ば無理やり会計を済ませ、近くのベンチに並んで座った。俺たちの間には微妙な距離が空いていて、心の距離が具現化しているようで無性に悲しくなったが、そうとも知らずは出来立てのクレープを旨そうに頬張っている。ほろ苦いビターチョコも今の自分の気持ちを表している気がした。いつの間にかがこちらを見ていたのに気づいて慌てて微笑んでみたが後の祭りで「美味しくなかった?」と不安そうに尋ねられてしまう。
「いや、旨いよ。どうして?」
「なんか微妙な顔してる」
「そうかな?」
「やっぱ、私じゃなくて彼女と来た方が良かったんじゃない?」
「……彼女なんて、いないけど」
「じゃあガールフレンド?」
「意味同じじゃないの?」
「彼女はお付き合いしてる人でしょ。ガールフレンドは友達じゃないの?」
「それのことじゃん」
「えっ、私のことガールフレンドにしてくれるの?」
「……ていうか、むしろ彼女になってほしい」
「…………ま、またまたぁ~~!三島くんなら選び放題なんだからさ、もっとかわいい子にしなよ……」
「がいい」
「そ、それ……まじなやつ?」
「まじなやつ」
「からかってるんじゃないの」
「はさ、それわざと言ってるの?俺のこと嫌い?」
「ご、ごめん……だって、三島くんてモテるでしょ。私みたいな平均値女なんて選ばれるわけないと思って」
「好きでもない子と出かけたりしないよ」
の手をそっと握ったら吃驚させてしまったようで、彼女が反対の手に持っていたクレープから溶けたアイスが零れ落ちた。それを視線で追うとちょうど俺たちの足元の中間にべしゃりと叩きつけられ、二人の「あ」という声が重なる。この上なく気まずくて「俺のアイス、いる?」と聞いてみたら「いや、私苦いのはちょっと……」と普通に断られてしまったが真っ赤になったが可愛くてそんなことはどうでもよくなってしまった。
「やっと歩き出した僕をどうか笑って」::ハイネケンの顛末